book

書評 / 『未来の働き方を考えよう〜人生は二回、生きられる〜』ちきりん

社会派ブロガーとして有名なちきりんさんが書いた、『未来の働き方を考えよう〜人生は二回、生きられる〜』を読みました。

人生100年時代と言われる今、私たちの未来は大きく変わろうとしていて、それに伴い働き方も大きく変わろうとしています。

現在起こりつつある社会の変化、世界の変化を見据えた上で、私たちの働き方が今後どうなっていくのか、それに対して私たちはどうするべきなのか、ちきりんさんの言葉でわかりやすく、説得力のある語り口で書かれている一冊でした。

不安な未来をワクワクできる未来に変えるために、ぜひ本を読みながら考えてみてくださいね。

今回は、私が勉強になった部分を抜粋しながらまとめていきます。

70歳まで働く世界

現在の世界は、平均寿命の伸びにより、定年もどんどん引き伸ばされている時代です。もし、「70歳定年」の未来が現実に来るとしたら、23歳から70歳までの47年間、本当に1つの職業を1つの職場で続けたいでしょうか。

定年まで終身雇用で働くという生き方を本当に自分が望んでいるのかどうか、1度真剣に考えてみるのもいいと思います。

世界を変える3つの革命的変化

IT革命という言葉が使われ始めてから10年以上がたちますが、そもそもIT革命とはどういったことでしょうか。

革命とは、「パワーをもつ層の交代」であるとちきりんさんは述べています。例えば産業革命の時は、エネルギー技術の革新に伴って、不労所得で食べていた層から、工場を作って事業を興した人たちにパワーが移行しましたよね。では、IT革命とはどのようなものでしょうか。

大組織から個人の時代へ

まず、IT革命では、これまで圧倒的な力を持っていた国や大企業などの大きな組織から、今まではそれらに従属するしかなかった個人や、個人が集まっただけのネットワークへ、パワーシフトが起こっています。

これまで大企業でなければとても調達しえなかった額の資金を、個人や新興企業が調達できるようになったり、ビジネスに必要なインフラ機能も個人で外部から調達できるようになりしています。こうして、個人でも国家や大組織に対抗するほどのパワーがもてる時代になったのです。

確かに、個人の発信力が格段に高まっているのは私もSNSを利用していて感じます。

先進国から新興国へ

これからの働き方に大きな影響を与えるふたつめの要因は、「グローバリゼーションの急速な進展」です。

グローバリゼーションとは、世界が繋がること。より大きな意味で、私たちの働き方に根本的な影響を与えます。

これまで格差は国と国の間にあり、それは南北問題と呼ばれていました。けれど今、国家間の格差は急速に縮小し、個人と個人の格差に置き換えられようとしています。

つまり、先進国、新興国など、国の問題ではなく、個人がどう生きるかがより重要になってくるということです。

グローバリゼーションによって世界がつながり始めると、制度や考え方も世界で統一されていくことになり、現在の日本では当たり前の「年功序列」や、「同一労働・同一賃金」という考え方は通用しなくなっていきます。

さらに、先進国から新興国へのパワーシフトは、国境の壁が低くなり、世界つながることだけから起こるわけではなく、「人数バランスの変化」も要因の1つだとちきりんさんは考えています。

これまでの世界では、数億人が住む先進国と、それ以外の数十億人が住む非先進国に分かれていました。先進国の人たちの優雅な暮らしは、他の大多数の人たちがエネルギーも食料もろくに消費せず、安価な労働力を提供してくれるという前提のもとに成り立っていたのです。

しかし、今後人口が大きく伸びるのは、中南米やアフリカ、アジアの一部の国(インド、インドネシアやパキスタン、バングラディシュなど)です。結果として、世界人口に閉める先進国人口の比率はどんどん低くなります。

このように、これからの先進国の相対的な地位は、頭数という点でも大きく低下するのです。

さらに、これまで先進国の圧倒的な有利さは、高度な教育を受ける人の絶対数にありました。しかし、このような優位性もいつまで保てるのかわかりません。すでにインターネットで無料の教育サービスが展開されており、こういったサービスを使えば、新興国に生まれても基礎的な教育を無料で受けることができます。

また、先進国の人しか楽しめなかった文化的な資産に触れるという機会も、今ではネット上のサイトで鑑賞できる時代です。

こういった社会的な流れから、これから新しい文化や技術を生み出す場所は、シリコンバレーのように積極的に外部から優秀な人を受け入れ続けるエリアか、膨大な人口を抱え、急速に教育レベルの上がる新興国です。

そういった場所で生まれた新技術や新文化が、日本など、現在の先進国を含めた世界中に広がるという、イノベーションや文化の逆流が起こるのです。

ストックからフローへ

IT革命とグローバリゼーションに続き、私たちの働き方に大きな影響を与える3つ目の要素が、人生の長期化です。寿命が伸び、働く期間が現在よりもずっと長くなる時代、私たちに必要なのは、「ストック型からフロー型にシフトしていくこと」だと述べられていました。

これまでの社会では、できるだけ多くのストック、すなわち貯金や人的ネットワークや資格などの資産をもつことが有利とされていました。

しかし、今後の社会で必要なのは、ストックよりも、その時々になんらかの価値を生み出し続ける「フローの力」です。例えば、貯金はあるけど自分で稼ぐ力のない人と、貯金はないけど、自分で稼ぐ能力のある人の対比がわかりやすいですよね。

終身雇用の当たり前だった時代は、確かに組織に守ってもらってただストックを貯めるだけでも充分な生活が約束されていました。

しかし、長生きの可能性が高まると、いくら貯金=ストックを持っていても不安は尽きないけれど、稼ぐ力=フローがある人は、ストック型の人よりも安楽的に構えていることができます

新しい働き方

需要が圧倒的に大きな市場で手に職をつければ、様々な働き方を自分で選択して生きるという新たな働き方をすることができます。

これまでは、公務員になるとか、大企業に入って一生働き続けることが望ましいキャリアだとされていました。職業選びにおいて、解雇されにくさや収入の高さが重視されていたからです。

しかしその一方で、働き方の柔軟性を重視する人も増えてくるはずです。彼らは、どうしたらそういった自由度の高い、多彩な人生設計が可能になるのかという視点で職業を選びはじめます。

需要が供給を大きく上回る仕事のメリットは非常に大きく、それだけの努力をする価値は充分にあるでしょう。手に職をつけると一概に言っても、大事なのは「資格の有無」ではなくて、「市場のニーズの有無」です。社会で求められる価値を提供するをつけるための努力をしていきたいですね。

職業は二回選ぶものと考える

ちきりんさんが本の中で提唱していたことの1つに、「最初から職業人生は二回あるという発想をする」ということが書いてありました。

寿命が伸び続ける中で正解の見えない時代を生きる人にとって、「一生の間に、2パターンの職業人生をおくる」というのは様々なメリットがあると述べられています。

チャンスは二回ある、一回失敗しても、もう一回やってみられう、もしくは、最初にいろいろ試して、2度目はそこからの学びを生かしてよりよい選択をすればいいと考えれば、一発勝負とは異なる感覚で働き方を選べます。

結果的に2つの職業を体験する人はたくさんいますが、そうではなく、一生の間に2つの異なる職業人生を選べるのだという意識を最初からもってみましょう。

1度目の選択の時から2度目のことを考えていれば、2度目の選択時には、自分のやりたいことややりたくないことは明確ですよね。

求められる発想の転換

お金に関する発想の転換

早期引退の可否を左右するのは、収入の多さではなく、支出の多さなのです。

質素に暮らせばいいものを、「周りがやっていることはうちもやる」という横ならびの意識があるために、お金が足りないという状況に陥ることが多いですよね。

自分の理想とする生活はどんなものなのかをもう一度考え直し、理想の生活のためにどれだけの支出が必要なのかを再認識するだけで、働き方も変わってくると思います。

寿命に関する発想の転換

私たちはあたかも、人生がいつまでも続くように思いがちですが、そうではないですよね。

尋常じゃないレベルの働き方をしている人や、自分のやりたいことに迷いのない人、徹底的にしがらみのない人には、人生の有限感を意識している人が多いと書かれていました。

普通に生きている人はいろんなことが不安で、人生にやたらと保険をかけてしまします。進みたい道があっても、よくわからない道には足を踏み入れません。「危ないかもしれない」からです。普通の人がそういう不安に怯えるのは、本当の不安である、人生が終わるという瞬間が明日にでもやって来るかもしれないということを知らないからだ、と述べられていました。

人生が有限だと宣告された時に生き方が変わるのだとしたら、それまでの人生は、自分が本当に望んでいる ではなかったということです。

つまり、絶対やりたいことは、「いつか」ではなく「今」やっておくべきなのです。人生はいつまで続くかわからない、という意識をもつことが、くだらない世間の”あるべき論”に従う生き方に対して、立ち向かう原動力となります。

自分の人生が残り10年だとしたら、自分は何がやりたいのか、一度ゆっくりと考えてみたいと思います。

オリジナル人生を設計するために

自分オリジナルの人生を手に入れるために重要な、3つのステップです。

手に入れたい人生を明確にしよう

「やりたいことがない」という人はたくさんいると思います。ただ、

自分がやりたいことが明確になれば、人生はものすごく楽になる」のです。

やりたいことが見つかると、「自分の人生はこれでいいんだろうか、ほかにも可能性があるんじゃないか」などと、グダグダと悩み続けることもなくなります。他人の目も気にならなくなり、自分の行く道に自信がもてるのです。やりたいことが見つかるということは、それだけでかなりの幸運です。

やりたいことは、社会的に意義のあることや、周囲が驚くような大きな目標でなくてもいいのです。大事なことはただ、「それは、誰に評価されなくても、経済的な見返りがなくても、やり続けたいと思えるほど好きなことか?」という点だけです。

まずは、自分はどこに誰と住んで、何時に起きて、どんなことをして毎日を過ごしたいのか、具体的に考えることです。手に入れたい生活イメージがどれだけ具体的に想像できているかということがポイントですね。

理想の人生設計をする際に検討すべきは、「そんな生活で食べていけるかどうか」ではなく、「そんな生活を、本当に自分は楽しいと思えるのか」ということです。

複数の将来シナリオをもとう

キャリア形成とは、先行きの選択肢を複数考え、自分が進む道を意識的に選びその道でやっていくために必要な知識やスキル、経験をどう身につけて行くのか、自分で設計し、実現していくことです。

最初に職業を選ぶ際、その職業を選んだ場合、将来のキャリアがどのような道に分岐していくのかという選択肢のバリエーションについて早い段階で理解しておくことも大切です。

市場で稼ぐ力をつけよう

自分設計のオリジナル人生を実現するために必要な最後のステップは市場で稼ぐ力を身につけることです。

最終的に自分の給与となるお金が誰の財布からどのような商品やサービスへの対価として、いつ、いくら支払われているのか、意識していますか。人は、誰が市場で最終的にお金を払ってくれているのかが見えていると、市場が求めるもの、評価してくれうものを提供しようという意識が強くなります。

激しい価格競争が行われている事業で働けば、自然に市場感覚は身につきます。市場が求めているものを提供する力と自信が身につけば、未来に向けて選ぶことのできるシナリオは、今よりずっと自由で多彩なものになります。この「マーケット感覚」こそ、「稼ぐ力」に直結するのです。

まとめ

寿命が伸び、IT革命やグローバリゼーションなど、予測のできない時代に生きている私たちにとって、自分の本当に求める働き方や生き方を考えることの重要性を改めて感じることができました。

さらに、今後の未来はどうなっていくのかという、ちきりんさんが様々な経験をしてきた中から考え抜かれたことも多く書いてあり、かなり勉強になりました。

自分が本当にやりたいことは何か、どんな人生を送りたいのかをよく考え、さらに自分でやりたいことはできる時代なのだという意識をもって、毎日を過ごしていきたいです。