タンザニアの北部に位置する、人口40万人ほどの街「アルーシャ」。その街に住む女性たちを、マイクロファイナンスを通して支援するというボランティアに私は参加しました。
そもそもマイクロファイナンスって何?という認識からのスタートでしたが、1ヶ月間タンザニアで過ごしてみて感じることがたくさんあったのであったので、その時のことをまとめたいと思います。
マイクロファイナンスとは
まず、マイクロファイナンスってなんなの?ということですが、簡単にいうと、
「貧しい人々に小口の融資や貯蓄などのサービスを提供して、彼らが自立し、貧困から脱出することを目指す金融サービス」
です。
タンザニアもそうですが、発展途上国では企業における雇用機会が少ないため、労働者の半分以上は自営業かファミリービジネスで生計を立てており、不安定な生活を続けています。
貧しい人々は、将来の備えや計画に対応するための、預金口座や保険サービスといった一般的な金融サービスへのアクセスがありません。マイクロファイナンスは、こういったニーズに応える仕組みです。
マイクロファイナンスは、従来の開発援助にあるような慈善的なアプローチとは異なり、一人ひとりが自分の可能性を活かし、経済的な将来設計も立て、自立した生活を営むことができるよう支援するものです。
ボランティア内容
実際に私は、月曜日から金曜日までの週5日間、各村に住む女性たちを訪ねて様々な活動をしました。1日に2つの村を巡り、合計10の村の女性たちと関わりました。
1つの村にはだいたい15人ほどの女性が支援を受けるために集まっています。
具体的にどのような内容の仕事をしていたのかをまとめていきたいと思います。
家計簿チェック
まずは、家計簿のチェックからです。
1週間おきに同じグループを訪れるので、1週間分の家計簿をそれぞれつけておいてもらいます。
家計簿は、1日ずつ、いくらの収入があっていくらの支出があったかを記録してもらい、1週間トータルでいくら収入があり、支出があったかを計算して提出してもらっていました。
計算ができない女性もいるので、間違いを見つけた場合は一緒に計算方法から学習していました。
授業
英語や計算、時計の読み方など、基本的なことから、実際にお店を持っている人たちのために、商品の並べ方を教えたり、様々な授業をしました。
1つのグループに対して、30分くらの授業を行います。
実際に教えている様子。日本のような教室はないので、外に椅子を出して青空教室か、村にある教会で授業をしていました。
個人の家を訪問
授業のあとは、グループの中の人の家を実際に訪れて、個人的な悩みを聞く時間を設けていました。
具体的には、
・旦那さんがいなくて働き手が自分しかいない。
・子供を学校に行かせてあげられるお金がない。
・近隣の人たちとビジネスが被ってしまって売り上げが上がらない。
・新しいビジネスを始めたいけど何をやるべきかわからない。
・ものを売ってもお金がもらえない。
などなどです。
悩みは人それぞれ本当にバラバラでしたが、結局は生活に困っているから力を貸して欲しいというところに落ち着きます。
その悩みや、彼女たちの生活の実情を全て記録しておき、後ほどまた彼女たちを訪ねてアドバイスをするということを繰り返しました。
ビジネスを見せてもらう
彼女たちは、自宅で牛や鶏を飼っていてそれを売ったり、ミルクや卵を売ったりしていたり、自宅で編み物をして服を売っていたり、農業をしていたり、と様々な小さなビジネスをしています。
その様子を実際に見せてもらい、改善点を伝えるなどしていました。
こちらの女性は編み物をして、セーターを編んで売っています。
こちらの女性は自宅でトマトを栽培して売っていました。
これは、アクセサリーの数々。自宅でアクセサリーを作って販売しています。
牛を飼っている家もあります。
タンザニアの女性たちが作ったネックレスやブレスレットの数々。手作り感満載ですが、綺麗な色で私も少しだけですが購入させてもらいました。
感じたこと・まとめ
1ヶ月間タンザニアにいて、私にできたことは少しだけでしたが、たくさんの発見や出会いがあり、本当にいい経験をすることができました。
ただ1番感じたのは、根本的に問題を解決するのは本当に難しいということ。
いくらボランティアで相談にのったりアドバイスをしたりしても、少しの改善にはつながるけど根本的にタンザニアの女性たちが豊かになるわけではないんだということを強く感じました。
逆に、マイクロファイナンスの可能性も感じました。一時的にお金をあげて解決するのではなく、一人一人に寄り添って少しずつ現状を改善する手伝いをする、というのは、物理的にも精神的にも女性たちの支援につながると思います。
もっと広い世界の人たちが、世界のことを深く知ることができる可能性を広げられたらいいのにな、と感じたタンザニアでの経験でした。